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~ペイズワイズ~
JDBA認定ドッグビヘイビアリストIPPEIの良識的なドッグトレーニング

こんせぷと
ヒトとイヌが、互いに、のびのびと暮らす
そうであってほしい。と心から願っています。一方で、トレーニングの世界になった途端に「どっちが上か(主従)」ということが注目されます。イヌとヒトとの関係や問題を考えるときに、このテーマは全く必要ないはずです。もっと肩の力を抜いていただいて構いません。私はもしかしたら、皆様にとって新しいご提案をするかもしれません。それは「行動の原理」を学問の力を借りてご提案するからです。
犬と、そして飼い主様には「互い」に幸せになってもらいたい。イヌが幸せであれば、側にいるヒトは幸せなはず。
では「イヌの幸せ」をどのように測る、また考えることができるでしょうか。私が専門家として大切にしているのは 「動物福祉学」というものです

Amimal Welfare
~動物福祉~
動物福祉
~Animal Welfare~とはなにか
「動物福祉」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
少し似た言葉に、
「動物愛護」というものがあります。こちらは皆さんも聞き馴染みがあるかと思います。
実際には全く異なる概念、性質を持っています。
動物愛護の“愛護”というのは、正しく英語に訳すことが難しく
Compassion(コンパッション) や LOVE(ラブ) という人の感情的なものを表現する意に近いものになります。
つまり、動物を愛し、保護する。というものになるわけですが
これはその個人が「~してあげたい」「かわいそうだと思うから~したい」という主観性の強いものになりがちです。
個人の主観が混在するという性質が、この動物愛護の最大のデメリットでもあります。なぜならば、動物の幸福を考える時に人によって考えが違う、曖昧で主観的な性質は、本当の動物の幸福を遠ざけてしまう可能性があるからです。もう一点の懸念は、“命”にフォーカスし、生きていることが最優先。という傾向にあること(殺処分ゼロ!という言葉をよく耳にしたことがあるかと思います)。これは特に日本らしいといえ、その理由は日本人の歴史的背景が関わっています(これは長くなるので割愛させてください)。
“動物を愛し、大切にし、命に対して感謝の気持ちをもって育てる”ということはまったくの同意です。一方で、それとは少々異なった視点で考えることもできます。
生きていれば、生きてさえいれば、その動物は必ず幸福であるといえるのか、という視点です。
その動物種は私たち人間のように今現在ある痛みや、苦しみに耐え、我慢し「諦めなければ幸せは必ず来る!生きてさえいればなんとかなる!」というように数日後、あるいは一週間、一年後、など未来のことを考え、希望をもつことがはたして出来るのでしょうか。犬の脳は生物学的にそういった機能を持ち合わせているのでしょうか。もし、そのような思考が出来ないとするならば、ー今その瞬間の幸せーその瞬間の苦痛の解放(普通でいられること)を確保してあげることも大切ではないか、という視点が必要なようにおもいます(生きているということのみならず、細かい単位で動物の苦痛や不安を科学的に理解し、改善してやること)。
私たち人間は、特別なんかではありませんが脳のある部分は「特殊」ではありそうです。唯一、地球上の生物の中で「言葉」というものを使って会話をしますし、一週間前のことを思い出し、一カ月先のことを想定したり、今晩の夕飯の予定を立てることも出来ます。脳の比較的新しい部分が進化してきている動物だからこそ出来ることです。そんな特殊な生き物が、自らの機能を中心に、または主観的に、他の動物のことを考えることは時には危険でもあります。
動物福祉では、このような個人の感覚や、思い、主観的なものとは無関係に、あくまでも動物が主体にして
何を「動物の幸福な状態」とするかを科学の視点で、学問の力を借りて、より客観的に考えていこう。というものであります。
動物福祉は、動物先進国イギリスで1960年代にできた考えです。
イギリスの農水省は、動物に対する“5つの自由”を定めました。
それが通称「ブランベルレポート」。
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「飢えと渇きからの自由」(健康と活力の為に必要な新鮮な水と飼料の給与)
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「不快からの自由」(快適な休息場などの適切な飼育環境の整備)
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「痛み、傷、病気からの自由」(予防あるいは救急診察および救急処置)
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「正常な行動を発現する自由」(十分な空間、適切な施設、同種の仲間の存在)
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「恐怖と苦痛からの自由」(心理的な苦しみを避ける飼育環境の確保及び適切な待遇)
私が動物の行動の専門家として、特に注目したいところは4番.5番です。
その動物に対して“よき理解者になること”とも言い換えられます。
その動物にとっての正常な行動とはなにか。
その動物にとっての苦痛や恐怖とはなにか。
これらを科学的に知っている人は、よき理解者である。といえるのではないかと考えます。
例えば、鶏という動物。普段私たちが有難く肉や卵をいただくことも多いでしょう。
鶏にとっての正常な行動(砂浴び、日光浴、産卵、活動)とはなんなのか。また、それを発現させるにはどのような環境を与える必要があるのか。想像やイメージなどではなく、様々な学問を通して専門家が慎重に検討します。
(最上部の写真のような放牧環境は、鶏にとって望ましい行動レパートリーをふんだんに発現させることでしょう!)
ご存じの方もいるかもしれませんが、日本の約9割もの肉類や卵は、一羽あたりのスペースを限りなく狭くしたケージ管理での飼育、つまり自然な行動を取ることが出来ないストレス過多の環境で過ごしていて動物福祉が考慮されていない環境で育ちます。
これらは、伴侶動物である、犬などの世界においても同様であり、真剣に考え、取り入れていくべきものであります。
私は犬の専門家ですから、動物福祉の視点をもって、飼い主様へアドバイスをさせていただいております。
犬たちにとって“正常で、自然な行動”とはなにかを再考し、その適切な環境を可能な限り与え、同時に飼い主さま(人間)の環境とのバランスをもって環境整備をする。お困りの行動を変えていく。その術をお伝えしていくのが、私たち専門家の仕事です。
動物の幸福、ドッグトレーニングを考えるときに我々のような専門家に“動物福祉”という考え方は、最低限必要であり、最優先に考えること。といえるでしょう。