科学的に証明された!?“イヌとヒトの絆”

動物行動や関係学、獣医学などにおいて日本では数少なく
熱心に研究が行われる麻布大学。

そちらの著名な菊水教授によって
素晴らしい心理学研究が行われている。
今回はイヌとヒトの絆というなんとも興味をそそる題目。
出来るだけ正確に簡単に、皆さまに共有できれば幸いです。
イヌとヒトの歴史

正確に解析はイヌとヒトとの関係は30,000年〜40,000年前とされています。
その他の家畜などに比べても非常に歴史の古いものであります。
本来家畜は、人間の食料源または、食料源を守るための存在であることが多かったのです。
猫は穀物庫を狙うネズミにもっとも有効的だったために選択された背景があります。
犬は人間と共に狩猟活動を行い、共に移動しながら共生してきたといわれています。
我々ヒトとのコミュケーションに優れるのはこのような背景があったからなのですね。
犬の素晴らしい社会的能力

犬の優れた能力の中に社会認知能力というものがあります。
この能力が高いからこそヒトとの共生が可能なのです。
【一つ目の例】
二つの器を用意し、その器には二つともおやつが入っています。
そして人間が指差しをし、その先にある器を選ぶことが出来るのか、という実験です

これをイヌに近いオオカミと、人間に近いチンパンジーとの比較研究も行われましたが
なんと正解率が一番良いのは“イヌ”なんです!
これはイヌとヒトがいかにコミュニケーションを取ることが可能かを物語っているようです。
【二つ目の例】
器におやつを入れて自由に食べさせます。
その後、その器に蓋をして与えてみると
始めは口や手を使って開けようとしますが、どうも開かない。

そうすると犬は飼い主の顔と、器を交互に見る行動が観察されます。これは紛れもなく「催促」であると言えるでしょう。
犬と暮らしているみなさまにも身に覚えのある行動かと思います。
(ドアの前に立つ、なども同じですね。)
これは動物にとってはとても高度な行動といえます。
オキシトシンというホルモン

このホルモンは脳内で分泌が起こると
○不安や恐怖心を感じにくくなる
○意欲的になる
○幸せを感じる
○お肌の調子が良くなる
○健康に痩せる など
とにかくプラスの感情が働く傾向にあります。
イヌにおいてのこのホルモンは、親犬が仔犬を育てる際に必要であったり、
さきほどの実験のような社会認知能力に大きな影響を与えることでしょう。
どうやって分泌が起こる?

ある研究で、二つのグループに分けられました。
飼い主のことをよく見つめるグループと、そうでないグループに分けられ30分の交流が行われました。
まず飼い主をよく見つめるグループの方がオキシトシン濃度の上昇が見られました。
そして、犬が飼い主を見つめるということがトリガーとなり
飼い主が犬を見つめることにより飼い主のオキシトシン濃度、さらには犬のオキシトシン濃度が上昇し、
つまり相互作用が働いたことになります。
これがイヌとヒトの絆を証明する科学的な根拠となったわけです。
この素晴らしい研究はアメリカの著名な科学誌
“Science”にも掲載されました。
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イヌとヒトは、適度にスキンシップをはかることで相互にいい影響を与えます。
それは思い込みなどではなく、内分泌的アプローチとして科学的に証明されたわけなのです。
こういったコミュニケーションを抜きにして、問題行動の改善には到底及びません。
飼い主さまはお仕事などもあり、大変なことと思います。
そんな中でもぜひ、朝、晩の二回の散歩は最低限行い、積極的にコミュニケーションを図り
犬の問題行動を見つめる前に、適切に、健全に満たしてあげれているかを考えていくと近道になることもあります。
おわりに

いかがだったでしょうか。
たまにはイヌとヒトとの関係性をドライな視点で考えてみるのもいいのではないでしょうか。
人と犬に、体の中で同じ作用が働いているんだなぁ。
犬と人とは長い歴史の中で、そうなるべくしてなってきたのだと実感しますね。
「愛玩犬」として一方的に愛するのではなく
お互いに譲り合う気持ちでいたいものですね。
IPPEI NISHIMOTO JDBA-DT